ブックタイトルHealth Management for Female Athletes

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概要

Health Management for Female Athletes

体験談1つらい月経痛をピルで克服吉井小百合さん(元スピードスケート選手)3歳でスケート靴を履き,世界で戦える選手を目標に青春時代を駆け抜けてきました.世界を目指し厳しいトレーニングに歯を食いしばり,ようやく立つことができた初のW杯の金メダル.そのメダルは私の手元にありません.半年後,1位だった選手のドーピング違反が発覚.それが私の初優勝でした.その時から,薬に対する不信感やそれらに頼らないアスリートが本当に強い選手なのだという考えが生まれました.社会人となって練習の強度が上がると,以前からあった生理前の症状はさらに辛いものになり,練習中の腹痛や腰痛は当たり前.動いていると自然と痛みを忘れる時もあるのですが,練習が終わるとその反動で嘔吐をすることも.スタッフや仲間の選手はみな男性で,その痛みを理解してもらえませんでした.我慢できず痛みを訴えると痛み止めを渡され,コンディショニングのために痛み止めを飲んで練習や試合に臨むようになりました.本当にこれでいいのかと思いながらも解決法はなく,レース後に襲う痛みに耐えきれず1時間もトイレにこもることもありました.そんな時,遠征に帯同した医師から低用量ピルを勧められたのです.スケート界ではまだ使用している選手がいなかったのですが,その時は不安よりもこの痛みを少しでも解決できればという思いで処方していただきました.現役引退後にコーチを経験したのですが,当時は女性の健康問題や薬についてあまり知識がありませんでした.自身の経験からホルモンバランスの乱れがパフォーマンスに影響することは知っていたのですが,もっとそういった知識があれば,また違った視点で指導ができたのではないかと思っています.コンディションとパフォーマンスは自分で管理できることを,多くの方に知っていただきたいと思います.20