ブックタイトルHealth Management for Female Athletes

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概要

Health Management for Female Athletes

8.アンチ・ドーピングの基礎知識(婦人科領域)「ホルモン剤」=「ドーピング禁止物質」と思っていませんか?婦人科で使用される機会が多い低用量ピルやプロゲスチン製剤はドーピング禁止物質に含まれず,アスリートにおいても使用可能です.産婦人科で処方される薬剤のうち,アスリートに使用可能な薬剤を表30に,ドーピング禁止物質を含む薬剤を表31 74)に例として示します.ただし,禁止物質は毎年1回以上(基本的には1月1日)改訂されるため,最新の禁止表75)を確認するようにしましょう.処方薬や市販薬が禁止物質か否かについては,Global DROJAPAN(http://www.globaldrojpm.com/)のサイトで検索可能です.8 -1産婦人科領域:使用可能な薬剤a.低用量ピル以前は,一部の低用量ピルに含まれているノルエチステロンは,その代謝物質が禁止物質である19 ?ノルアンドロステンジオンに代謝されることがあり,陽性が疑われる可能性があるとされてきました.現在では,検査技術の向上により投与したものと,もともと自分の体内で作られているものの区別が可能となっているため,ノルエチステロンを含む低用量ピルも禁止物質に当てはまらず使用可能です.また,一部のLEPは,弱い利尿作用をもつドロスピレノンを含んでいます.利尿剤は禁止物質となっていますが,世界アンチ・ドーピング機構国際禁止表には,「ドロスピレノンは禁止物質には含まない」ことが明記されているためこちらも使用可能です75).2017年3月31日現在,すべての低用量ピルは使用可能です.b.エストロゲン製剤主に更年期障害に使用される薬剤ですが,アスリートにおいては無月経の治療で使用されることがあります(保険適用がない薬剤あり).これもドーピング禁止物質ではありませんので使用可能です.137