ブックタイトルHealth Management for Female Athletes

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概要

Health Management for Female Athletes

7-4無月経アスリートに対する薬物療法a.ホルモン療法を行う目的エネルギー不足による無月経に対する薬物療法について紹介します.アスリートに限らず,産婦人科では無月経の女性に対しエストロゲン製剤を用いた治療を行うケースが多くあります.しかし,前述の通りエネルギー不足が無月経の原因である場合,「エネルギー不足を改善する」ことが最も重要な治療であることを忘れてはなりません.ここで紹介するエストロゲン製剤を用いたホルモン療法は,エネルギー不足を行っても月経の再開がみられない選手や,競技特性上,体重増加が難しい場合において考慮されるものであり,あくまでも補助的に行う治療となります.産婦人科医は,なぜホルモン療法を考慮するのでしょうか.エストロゲンは,p11で示すように全身に働いている重要なホルモンです.長期間低エストロゲン状態が続くことで,骨量低下のみならずp94で示すような身体やパフォーマンスにさまざまな影響がみられることがあります.骨量の点以外にも,また,血管内皮機能や精神面など全身への悪影響を避ける目的で,産婦人科医はエストロゲンを中心としたホルモン療法を行います.b.エストロゲン製剤投与による骨密度の変化女性アスリートの三主徴に含まれるように,無月経のアスリートで問題となるのが骨量の低下です.エストロゲンは,破骨細胞といって骨を壊す役割を担う細胞の働きを抑える役割がありますが,エストロゲンが低くなることによって破骨細胞が活発になり,骨吸収がすすみ骨量が低下します.では,無月経でエストロゲンが低いアスリートにエストロゲンを投与すると骨密度は高くなるのでしょうか.現状では,エストロゲンが骨密度を増加させるかについては,国際的にみても明らかになっていません.ただし,投与経路による骨密度への影響の違いをみると,海外の報告では,経口投与(飲み薬)よりも経皮投与(皮膚から吸収する薬)のほうが骨量増加に対しては有効である,という報告が多くみられます.これは,経口によるエストロゲン製剤は肝臓での骨芽細胞(骨を作る細胞)の分化に必要なIGF-1(Insulin-like growth factor-1)を抑制しま130