ブックタイトルHealth Manegement for Female Athletes Ver.3

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概要

Health Manegement for Female Athletes Ver.3

たエネルギー摂取量が確保されていない,いわゆる利用可能エネルギー不足」が原因となります.このため,治療の大原則はこの利用可能エネルギー不足の改善となります(p158 ? p165参照).利用可能エネルギー不足による無月経のアスリートに低用量ピルを使用した場合でも,このエネルギー不足が改善されていなければ服用中止後も月経の再開はみられません.このようなケースで,「低用量ピルを服用していたために月経がこなくなった」と誤解を受けていることが多いように思います.低用量ピル服用中止後の排卵回復を基礎体温で調べてみると,一相性の低用量ピルでは,服用中止3カ月以内に98.3%の女性で排卵が確認されていたとの報告や,中止後の初回自然月経では88.2%で排卵回復がみられたことも報告されています.この報告からもわかるように,低用量ピルは「将来妊娠できなくなる薬」ではありません.4-3プロゲスチン製剤1- 2(p 8)で説明した通り,排卵後に黄体からプロゲステロンというホルモンが分泌されます.このプロゲステロンを人工的に作ったものを「プロゲスチン」と呼びます.このプロゲスチンの種類はさまざまあり,プロゲスチン単独で使用されるものから低用量ピルに含まれて使用されるものまでさまざまあります.また,開発された時期の違いから,第一世代から第四世代まであります(表9).これらのプロゲスチン製剤は,基礎体温で高温期が短い黄体機能不全や月経周期の調節,月経困難症,子宮内膜症などの治療として使用されます.プロゲスチン製剤は低用量ピルと比較し体重への影響や血栓の頻度が少ないため,低用量ピル服用で副作用が強いアスリートや体重増加を避けなければいけないアスリート,減量があるアスリート,不動部位を伴うパラアスリートにおいては,月経対策に有効であると考えます.しかし,保険適用の問題や,一部のプロゲスチン製剤は薬価が高いなどの問題点もあります.80