ブックタイトルHealth Manegement for Female Athletes Ver.3

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概要

Health Manegement for Female Athletes Ver.3

させるものです.さまざまな疾患において,発症から治療を始めるまでの「未治療期間」が短い方がその後の社会復帰がよいということもいわれています.「おかしいな」「食のコントロールができないな」と思ったら,なるべく早くスポーツに詳しい心療内科・精神科の医師や臨床心理士など専門家を訪れましょう.「これくらいで医師や臨床心理士にかかっていいのかな?」と思うアスリートもいるようですが,先述したように全身のシステムに影響を及ぼす疾患であり,少しでも回復しやすい段階で舵を切るに越したことはないのです.また,アスリートの周囲にいるコーチや関係者が先に気づき,専門家につなげたいと思うケースも多々あるかと思います.摂食障害の場合,なかなか自分の病気を認めない傾向があり,他の精神疾患よりも受診が難しい場合が多いようです.摂食障害者の受診経路について中山が自験例を報告していますが88),内科25%,婦人科21.7%であり,摂食障害者は食行動異常に対する否認や病識不足等から,二次的に派生した内科疾患や月経周期異常などで受診することが多いということが明らかになっています.実際,無月経のアスリートの80%弱に摂食障害が並存する65)という報告もあります.無理やり専門家につなげようとせず,批判せず,心配しているという態度で受診を勧め,タイミングがくるのを辛抱強く待つことが適切です.まずは,身体のケアという面から内科や婦人科受診を勧めるのもよいでしょう.また,コーチや関係者が先に専門家を訪れ,どのようにアスリートに対応したらよいのかを相談するのもよいと思われます.最近では学校に臨床心理士がスクールカウンセラーとして勤務していることも多いですし,日本スポーツ精神医学会のホームページに学会所属医師リストが掲載されています.メンタルサポーターの名簿も入手することが可能ですので,受診先の参考にしてください(p 5 0参照).女性アスリートにとって,まずは摂食障害が身近な疾患であることを認識し,アスリートや関係者が正確な知識を持ち,いかに予防するか,いかに早期に発見するかが重要になります.183