ブックタイトルHealth Manegement for Female Athletes Ver.3

ページ
181/200

このページは Health Manegement for Female Athletes Ver.3 の電子ブックに掲載されている181ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

Health Manegement for Female Athletes Ver.3

この神経性やせ症と神経性過食症は独立したものではなく,拒食していた人が過食嘔吐に転じるなど相互に移行することも多いものです.どちらもきっかけは,ダイエットやそれによる反動としてのやけ食いであったりします.アスリートは体重や体型が競技に関わることが多いとされ,ダイエットをせざる得ない場合があります.アスリートの生きる環境そのもの,アスリートとして生きていこうとすること自体が,摂食障害を引き起こしやすいともいえるのです.よく知られている無月経や骨粗鬆症など婦人科系・整形外科系の障害ばかりでなく,全身のシステムに影響が及び,ひいてはパフォーマンスの低下につながります.7- 3アスリートにとっての摂食障害女性アスリートは一般人口に比べて摂食障害の発症のリスクが2~3倍高く84),痩身の方が有利との誤った思い込みがなされがちな競技群(審美系,体重-階級制,持久系競技)で多いとされます.2002年4月から2017年6月の期間にJISS心療内科・カウンセリングを受診したトップアスリート131名のうち,女性は92名でした.そのうち43名が心療内科にかかり,「摂食障害」と診断されたのが13名で一番多い疾患でした(表34).これはすべて神経性過食症であり,神経性やせ症はいませんでした.「練習をしなければ」と思っているのにやる気が全く起きないといった抑うつ症状や睡眠障害が起こる「抑うつ障群」,パニック発作を起こしたり飛行機や電車に乗れなくなる「不安障害」よりも,「摂食障害」と診断されるアスリートは多いのです.女性アスリートにとっては,摂食障害は非常に身近な疾患といえるでしょう.表34 JISSを受診した女性アスリートの診断分類主病名での診断(DSM-5)症例数摂食障害群13抑うつ障害群9不安障害群7心的外傷およびストレス因関連障害群5解離症群2神経発達症群3睡眠ー覚醒障害群2その他2計43n=92179