ブックタイトルHealth Manegement for Female Athletes Ver.3

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概要

Health Manegement for Female Athletes Ver.3

7.心理的発達と摂食障害7-1女性アスリートの心理的な発達アスリートが本番でパフォーマンスを発揮するには,その時のこころの状態が大きな影響を与えます.競技に対する緊張やチーム内での人間関係,やる気が出ない,眠れない,食事のコントロールがうまくできない,など様々なこころの悩みをもっている場合もあります.こころの状態は,その時の状況やストレス要因だけでなく,生まれつきの性質として有するもの,生後の長い期間を経て作り上げられてきた性格や物事の見方(認知)などで左右されるものでもあります.女性アスリートのこころの状態を知るためには,どのようにこころが発達を遂げていくのか,つまり性格傾向や認知の特徴を知ることも大切です.Eriksonは各年代で獲得されるべき心理発達課題を提唱しました77)が,アスリートはその独特な環境により,非アスリートとは異なるこころの歩みを遂げるといわれています78).各年代に分けて詳しくみていきましょう.a.学童期(小学生)生活の主な場所が家庭から学校や同年代の集団に切り替わる時期です.きんべんせいこの時期には,「勤勉性(industry)」によって周囲の大人に支持され達成感を得る一方,それが叶わない時に劣等感が形成されやすいものです.多くはその両者間で揺れる体験を重ねますが,この時期の発達課題は,主に仲間集団を通して取り組まれ,思春期に親友(chum)と呼ばれる存在を見出す基礎作りの時期ともいえます.トップを目指す子ども達は練習に明け暮れるため,学業や友だち,家族との関わりが疎かになりがちです.中でも競技開始年齢が早い個人スポーツはとうた人間関係を極端に狭くする懸念もあり,同世代集団と対等関係の中で淘汰される体験を重ねにくいと考えられます.同時に,周囲の期待・自分への要求水準が高く,勝利至上主義の環境で育っている場合もあります.これらは勝ち続けているうちは表在化しませんが,多くは継続できずに少年期には酷173