ブックタイトルHealth Manegement for Female Athletes Ver.3

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概要

Health Manegement for Female Athletes Ver.3

響を避ける目的で,エストロゲン製剤を用いたホルモン療法を行います.b.エストロゲン製剤投与による骨密度の変化女性アスリートの三主徴に含まれるように,無月経のアスリートで問題となるのが骨量の低下です.エストロゲンは,破骨細胞といって骨を壊す役割を担う細胞の働きを抑える役割がありますが,エストロゲンが低くなることによって破骨細胞が活発になり,骨吸収がすすみ骨量が低下します.では,無月経でエストロゲンが低いアスリートにエストロゲンを投与すると骨密度は高くなるのでしょうか.現状では,低骨量や骨粗鬆症のアスリートに対し,エストロゲンが骨密度を増加させるかについては,明らかになっていません.ただし,投与経路による骨密度への影響の違いをみると,海外の報告では,経口投与(飲み薬)よりも経皮投与(皮膚から吸収する薬)が骨量増加に対しては有効である,という報告の方が多くみられます.これは,経口によるエストロゲン製剤は肝臓での骨芽細胞(骨を作る細胞)の分化に必要なIGF-1(Insulin-like growth factor-1)を抑制しますが,経皮投与ではIGF-1では抑制しない,という点からです46).これまで,無月経のアスリートに経皮エストラジオール製剤による治療を1年間行い骨量の変化を調査してきました.対象者は,無月経で未治療のアスリート32名,無月経で1年間経皮エストラジオール製剤を投与したアスリート25名,正常月経群35名です.この結果,経皮エストラジオール製剤投与群では骨量の増加がみられ,未治療群では骨量が低下していました(図87).この結果から,経皮エストラジオール製剤投与により骨量は増加する可能性が示唆されましたが,引き続き症例を蓄積し検討していく必要があります.また,ホルモン剤と聞くと,低用量ピルを想像するアスリートや指導者,他科のスポーツドクター,保護者の方が多いことを日々感じています.ホルモン剤は低用量ピルだけではありません.低用量ピル以外にも,例えば,主に更年期障害で使用されるようなエストラジオール製剤というものがあり,低用量ピルとは異なるものです.原則,利用可能エネルギー不足による無月経の166