ブックタイトルHealth Manegement for Female Athletes Ver.3

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概要

Health Manegement for Female Athletes Ver.3

量は介入前の食事より200kcal増やすことになり,35.0 kcal/kg除脂肪量/日を目標にすると400kcal増やすことになります.この増加分のエネルギー量を何の食品でとるかについては,エネルギー源となる炭水化物,脂質,たんぱく質の摂取バランス・摂取量およびビタミン・ミネラルの摂取状況が重要になると考えます.栄養素の摂取状況は個人によってさまざまですが,表28の栄養素摂取量の比較結果からもわかるように,「炭水化物」の摂取量・摂取割合が低い傾向にあるように見受けられます.他の栄養素摂取量に不足がみられないのであれば,炭水化物を多く含んだ食品を増やすようにします.実際には,現状のエネルギーおよび栄養素の摂取状況を評価し,何の食品(料理)を増やすべきかを考えていきます.したがって,アスリート本人はもちろん,コーチやスタッフ,婦人科医や他のスタッフと連携をとりながら,管理栄養士,公認スポーツ栄養士による長期的な栄養指導介入が必要です.6-5無月経アスリートに対する薬物療法a.ホルモン療法を行う目的利用可能エネルギー不足による無月経に対する薬物療法について紹介します.アスリートに限らず,産婦人科では無月経の女性に対しホルモン製剤を用いた治療を行うケースが多くあります.しかし,前述の通り利用可能エネルギー不足が無月経の原因である場合,「利用可能エネルギー不足を改善する」ことが最も重要な治療であることを忘れてはなりません.ここで紹介するエストロゲン製剤を用いたホルモン療法は,利用可能エネルギー不足の改善を行っても月経の再開がみられないアスリートや,競技特性上,体重増加が難しい場合において考慮されるものであり,あくまでも補助的に行う治療となります.産婦人科医は,なぜホルモン療法を考慮するのでしょうか.エストロゲンは,p10で示すように全身に働いている重要なホルモンです.長期間低エストロゲン状態が続くことで,骨量低下のみならず,身体にさまざまな影響がみられます.骨量への影響以外にも,血管内皮機能や精神面など全身への悪影165