ブックタイトルHealth Manegement for Female Athletes Ver.3

ページ
143/200

このページは Health Manegement for Female Athletes Ver.3 の電子ブックに掲載されている143ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

Health Manegement for Female Athletes Ver.3

6-4無月経アスリートにおける食事の注意点a.女性アスリートの三主徴と利用可能エネルギー不足前述のとおりアメリカスポーツ医学会が2007年に発表した「女性アスリートの三主徴に関するポジションスタンド」では,「摂食障害の有無によらない利用可能エネルギー不足が視床下部性無月経の原因」であるとしています.また,無月経にともなう低エストロゲン状態が低骨量をもたらし,この状態で繰り返し骨にストレスがかかると疲労骨折のリスクを高めるとしています65).利用可能エネルギー不足とは,「総エネルギー摂取量から運動によるエネルギー消費量を差し引いた値」で生体の機能のために利用するエネルギー量ということになります.つまり,利用可能エネルギー不足は生体機能維持のためのエネルギー量が不足している状態です.利用可能エネルギーが,体重から脂肪組織の重量を差し引いた除脂肪量(Fat Free Mass:FFM)1kgあたり30kcal/日未満の状態になると黄体化ホルモン(LH)の周期的な分泌が抑制され月経周期異常につながることが報告されています48).アメリカスポーツ医学会では女性アスリートの三主徴のスクリーニングのために11の質問項目を挙げており(表20),競技スポーツの開始前に評価することを勧めています.特に,思春期の女性アスリートでは早めに三主徴をスクリーニングし対処することが大切です46).また,国際オリンピック委員会では,女性アスリートの三主徴をより広くとらえた概念として,総エネルギー消費量に見合ったエネルギー摂取量が少ない負のエネルギーバランス状態を,「スポーツにおける相対的なエネルギー不足」とし,内分泌,代謝,免疫,消化器,心血管,発育・発達,精神など,女性アスリートのみならず男性アスリートの健康にも影響を及ぼすことを示しています45).これらの点からも,エネルギー消費量に見合ったエネルギー量を毎日の食事から摂取することが,女性アスリートの無月経の改善においてはポイントとなります.141