ブックタイトルHealth Manegement for Female Athletes Ver.3

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概要

Health Manegement for Female Athletes Ver.3

経系やエネルギー代謝の調節に関わるホルモンであり,からだを運動に適した状態にするために重要です.例えば,心拍数を増加させたり,呼吸数を促進させたり,骨格筋にエネルギーを供給する働きがあります.これらの反応性の低下は運動パフォーマンス低下につながる可能性が考えられます.b.運動パフォーマンスへの影響カナダの研究グループは,15 ? 17歳のナショナルレベルの水泳選手を対象に卵巣機能の低下と利用可能エネルギー不足が水泳のパフォーマンスに及ぼす影響について検討しています60).性ホルモン濃度,エネルギー状態(エネルギー摂取量・消費量など)およびパフォーマンス(400mタイムトライアル)を12週間,2週ごとに測定し,正常月経群と月経異常群に群分けして比較しました.その結果,利用可能エネルギー不足で月経異常の選手は,正常月経の選手に比べてパフォーマンスの向上が抑制されていることがわかりました.12週間の強化練習前後の400m泳速度は,正常月経群で8.2%向上したのに対し,月経異常群では-9.8%と低下しました(図65).ところが,図66を見ると正常月経群と月経異常群のトレーニング距離に違いはありません.同じトレーニングをしていたにもかかわらず400m泳速度の向上に差が生じた理由として,慢性的な利用可能エネルギー不足によって低代謝状態になっていることが関与しているのではないかと考えられています.トリヨードサイロニン(T3)とIGF-1は,正常月経群に比べて月経異常群で低い値を示しており,月経異常群が利用可能エネルギー不足状態に陥っていることがわかります(図67).以上のことから,正常な月経周期を保ちながらトレーニングに取り組むことは,効率よくパフォーマンスを向上させるために重要だといえます.132